2011/12/22 - B'z

 わがはいは中の人である。名前はまだない。

 今日はB'zの東京ドームに行ってきましたよ。いやあ実に楽しかったです。途中までは。

 やっぱりというかさすがというか、ライブは王者の貫禄がありますね。まず会場に入ってステージ全体がフェンスに覆われていたのも圧巻(ふつうはせいぜい幕で囲う程度)ですが、オープニングで実はフェンスの絵を映していただけですべてLEDだとわかったときの驚きと興奮は、それから始まるライブの素晴らしさを容易に想像させてくれました。



 そして1曲目でフェンスが左右に開いたら、B'zの2人はステージ上ではなくセットの天井から吊られた巨大階段に乗って降りて来ました。これだけでも凄いのですが、その階段は2人がステージに降り立ったあと再び天井に引き上げられ、二度と降りてきませんでした。こういう場合、降りてきた階段がそのままステージセットの一部を構成するというのが一般的ですよね。あれだけの大掛かりなセットをオープニングで使い捨てるなんて、普通はやりません。

 そして、語らずにはおけないのが全編通して繰り広げられた見事な映像の演出です。先のフェンスは開演したらステージをぐるりと回りこんでステージ背後の壁になったわけですが、当然そうなればお客さん側を向くのはLEDの裏側のはずです。ところが裏側もLEDになっており、ステージ背景すべてを使った迫力の演出が繰り広げられました(もしかしたら裏表関係なくどっちにも出せるスクリーンだったのかもしれませんが。その辺はあまり詳しくないので)。

 これと比較してしまうのは先日の水樹奈々ですが、あちらはステージセットとして城を作りこむという、よく言えばゴージャス、悪く言えば下品でケバケバしい演出でした。これだとどの曲でも背景が同じなので、できる演出が限られてしまいます。
 アイドルとロックバンドなので単純に比較はできませんし、どちらかが良くどちらかが悪いというものでもありませんが、曲に応じて演出をがらりと変えられる全面LEDのほうが僕は好きです。演出の製作側は大変でしょうが、これが見事に決まると、セットが作りこまれて全曲大して雰囲気が変わらないライブよりよほど観客に与えるインパクトは大きいです。

 そしてさらに、まさかのアリーナ観客の頭上を通るムービングステージです。ジャニーズ以外でこんなことやるバンドありますか?アリーナ後方にスペースが確保されていたけれどステージらしきものはなかったので、何なんだろうと思っていましたが、まさかステージごと動いてくるとは思いませんでした。ワイドショーで嵐なんかのコンサートをやってて見たことはありましたが、本物のムービングステージを見るのは初めてです。

 ちょっとだけ最初、1曲目のおわりで出し切れなかったおしっこのようにチョロッと花火が上がったのは「あれ?」と思ってしまいましたが、他はまったく素晴らしいライブでしたよ。

 あ、あと、曲とは関係ないところですが、手拍子を前方からだんだんしていこう、という企画がありました。アリーナは最前が、スタンドは左右両翼のはじっこの人がまずパン、続いてアリーナ2列目の人とスタンドの隣の人がパン、と手拍子がだんだん会場後方に広がっていき、最後に左右から来た手拍子がスタンド真ん中でぶつかったら絶叫しようぜ、というものだったんですが、2階席から見ていて、アリーナの手拍子は完璧でした。前からだんだん手が上がっていく様は、王蟲の目の色がナウシカを中心に変わっていったときのような絶景でした。
 しかしスタンドのほうは残念でしたね。そもそも東京ドームはスタンドが2層なので、1階スタンドと2階スタンドでは速度が違います。稲葉さんは「スタンドの真ん中でぶつかったら叫べ」としか言わなかったので、1階が先にぶつかってしまい、1階だけが叫ぶ(アリーナと2階はまだ全部終わってないのが見えるので叫べない)という状態になってしまい、あれあれ?ってなうちに終わってしまいました。すでに公演した大阪ドームも同じ構造ですが、そっちはうまくいったんでしょうか?これ、残りの2日もやるなら、まず稲葉さんに1階と2階は別だという意識がないとまた失敗しますよ。

 まあ、そういう多少腰砕けなところはありましたが、さすがはB'z、ライブ自体の盛り上がりは凄かったです。BOOWYの大合唱には敵いませんが、現役バンドでは最高クラスのライブだと思いました。本編までは。

 まずアンコール1発目はこの時期しか聴けない超名曲、「いつかのメリークリスマス」だったんですが、斜め前の席の子供がまったく曲のリズムに合わせず丸めたパンフをパンパン叩くものだから気になってしょうがありませんでした。前の席だったら間違いなくイスを蹴っ飛ばしていましたが、斜め前ではそれもできずイライラでした。親も止めるのが遅すぎます。
 まあこれは席運が悪かったと思って諦めるしかないのですが、今日最大の問題は次の「Ultra soul」でした。ウルトラソウッ!ヘイ!の客の叫びがいまいち小さいな?こんなもんか?と最初からちょっと違和感があったのですが、曲の途中でまさかの全スクリーンがダウン、盛り上がったボルテージをハエ叩きで叩き落されたように腰が砕けてしまいました。しかも、壊れちゃったならもうしょうがないと思ってステージを見るんですが、その後も映ったり消えたりを繰り返すのでまったくライブに集中できず、不完全燃焼のままラスト曲「Calling」までやり切ってしまいました。これはあんまりです。

 B'z自身が悪いわけではないし、機材トラブルはしょうがないのですが、一番盛り上がる「Ultra soul」でトラブったこと、スタッフが諦めずに復旧しようとしてグダグダになってしまったことは、結果的に盛り上がりに大いに水を差してしまいました。そのせいで客が後味悪いまま帰ることになってしまったのは大失敗だったと言わざるをえません。これがライブ序盤のトラブルで、途中から復旧したなら、「最初トラブルがあったけど、最終的には超盛り上がったね!」で済んだ話なのですが、ラストでのトラブルは印象に残ってしまいますからね。
 結果論ですが、あそこでビジョンは諦めていればまだ客もしょうがないと思ったでしょうし、点いたり消えたりで客の集中力を殺ぐこともなかったでしょう。あるいは、最後にお詫びで1曲追加していれば全く印象は違ったと思います。企業でよく言われる、クレーム対応を見事にこなすとかえって評価が上がるというやつです。そのあたりの判断ミスもあるんじゃないかと思います。



 そんなわけで、楽しかったのに不完全燃焼で後味が悪いという、なんとも残念なライブになってしまいました。まあこんなことはめったにないので、これをもってB'zのライブはダメだということはありません。また機会があればぜひ行きたいと思います。

 本日のセットリストはこちらです。

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